「ウイルスに感染しました」という画面が突然表示されたら、あなたはどうしますか?
「そんなの詐欺に決まってる、引っかからないよ」と思った方。
今回紹介する2つのニュースを見ると、その自信が揺らぐかもしれません。
被害に遭ったのは「防犯協会の職員」と「高校の先生」です。
こんにちは、こんばんは。TechAtlas(てっくあとらす)です。
今回は、立て続けに報道されたサポート詐欺の被害事例から、中小企業で1人で情シスを担当している私たちが考えておきたいことを整理してみます。
参考記事
- 生徒の個人情報を含むファイルが複数削除 ~ 群馬県の県立高校等でサポート詐欺被害
- 県立高校等における個人情報に関わる事故について(高校教育課・農業構造政策課) | 群馬県
- 防犯協会職員がサポート詐欺被害 - PCが遠隔操作、金銭詐取も
- 個人情報漏えいの可能性がある事案の発生について | 四街道市
※以下は上記記事を読んだ上での個人的な考察です。
記事の概要
今回は、同時期に報道された2つのサポート詐欺被害を紹介します。
事例1:群馬県の県立高校(非常勤講師の私物PC)
群馬県の県立高校などに勤務する非常勤講師が、私物パソコンでサポート詐欺の被害に遭いました。
パソコン画面に「ウイルス感染」の警告が表示され、記載されたサポート窓口に電話。遠隔操作を許可した結果、パソコン内のファイルが削除されました。
削除されたファイルには、4つの教育機関の生徒・学生あわせて324名分の個人情報(氏名、学年、クラス、一部は顔写真も)が含まれていました。
事例2:千葉県四街道市防犯協会
防犯協会の職員が、業務中にインターネットを閲覧していたところ、画面に偽の警告が表示されました。
指示に従って操作した結果、約30分間にわたりパソコンが遠隔操作されました。
このパソコンには約1,700件の個人情報(氏名、住所、電話番号、生年月日、メールアドレス)と、個人を特定できる画像約100件が保存されていました。
さらに、詐欺師の指示で1万5,000円分の電子マネーを送金する金銭被害も発生しています。
この記事から考えたいこと
2つの事例に共通しているのは、「騙されるはずがない」と思われる人たちが被害に遭っていることです。
防犯協会の職員は、まさに「犯罪から身を守る」ことを仕事にしている人です。
高校の先生も、生徒に指導する立場の人です。
それでも、騙されてしまう。
この事実から、今日考えたいことは「サポート詐欺は『知っている』だけでは防げない」ということです。
なぜ「知っている」だけでは防げないのか
サポート詐欺の手口自体は、多くの人が「知っている」はずです。
- 画面に偽の警告が表示される
- 電話をかけさせる
- 遠隔操作ソフトをインストールさせる
- お金を要求される
これはニュースで何度も見ていますよね。
でも、実際に自分の画面に警告が表示されたとき、冷静に「これは詐欺だ」と判断できるでしょうか。
サポート詐欺が「効く」理由
1. 突然表示される
- 普通にネットを見ているときに、いきなり警告が出る
- 「何かやってしまったかも」という不安が生まれる
2. 画面が操作できなくなる(ように見える)
- 全画面表示でブラウザを閉じられない
- キーボードも効かない(ように見える)
- 「本当にウイルスかも」と思ってしまう
3. 音声や警告音で焦らせる
- 「すぐに電話してください」と音声が流れる
- 警告音が鳴り続ける
- 冷静な判断ができなくなる
4. 電話口の対応が「それっぽい」
- 「マイクロソフトのサポートです」と名乗る
- 丁寧な対応で信じさせる
- 「遠隔で確認しますね」と自然に誘導される
こういった「焦らせる仕掛け」が何重にもなっているので、「知っている」だけでは対処できないと考えられます。
具体的に何をすればいいのか
「知っている」だけでは防げないなら、「体が覚えている」状態にする必要があります。
サポート詐欺対策:3つの「体で覚える」ルール
ルール1:警告が出たら「Escボタン長押し」
最近のサポート詐欺は画面いっぱいに警告画面を表示して、パソコンの利用者の操作性を奪います。 ですが「Escボタン」を長押しすることで、閉じるボタンを表示させられるものが多く存在します。
閉じるボタンが表示できれば、あとは1つずつ警告画面を閉じていけばおしまいです。
ルール2:警告が出たら「電源ボタン長押し」
ルール1で対応ができない場合、慌ててて思い出せない場合は、これが最も確実な対処法になります。
画面に何が表示されていても、電源ボタンを5秒以上長押しすれば、パソコンは強制的にシャットダウンします。
「でも、作業中のデータが消えるのでは?」と心配になるかもしれません。
大丈夫です。サポート詐欺に遭うよりはるかにマシです。
しかも最近のWindowsやMS Officeなら、メモ帳やワード、エクセルで操作していた内容は再起動後も復元できる状態でアクセス可能です。
ルール3:電話番号が表示されても「絶対に電話しない」
マイクロソフトも、Appleも、Googleも、画面に電話番号を表示して「今すぐ電話してください」とは言いません。
電話番号が表示されている時点で、それは詐欺です。
ルール4:困ったら「情シスに電話する」
社員には、こう伝えてください。
「画面に変な警告が出たら、何もせずに私に電話して」
これだけで、被害を防げる可能性が大きく上がります。
周知の方法:「実際の画面」を見せる
サポート詐欺対策で効果的なのは、「実際の詐欺画面」を見せることです。
IPAのサイトに、サポート詐欺の手口を解説した動画があります。
この動画を社員に見せるだけでも、「こういう画面が出たら詐欺なんだな」という認識が生まれます。
朝礼や会議の冒頭で5分だけ時間をもらって、「最近こういう詐欺が流行っているので、見ておいてください」と共有するだけでOKです。
今日からできること
- 自分で一度、IPAのサポート詐欺解説ページを見ておく
- 「警告が出たらEscキーや電源長押し」を社内に周知
- 「困ったら情シスに電話」のルールを伝える
特に「電源ボタン長押し」は、ITに詳しくない人でも実行できる対処法です。
「タスクマネージャーを開いて」と言っても、焦っている人には難しいです。
でも「Escボタンや電源ボタンを5秒押して」なら、誰でもできます。
経営者から聞かれたときの回答例
もし経営者から「このニュース見た?うちは大丈夫?」と聞かれたら、こんな感じで答えてみてはいかがでしょうか。
はい、見ました。防犯協会の職員や高校の先生でも騙されてしまう手口なので、うちの社員も注意が必要です。
対策として、『画面に警告が出たら、電源ボタンを5秒押して強制終了する』というルールを周知しようと思います。
あと、IPAが公開しているサポート詐欺の解説動画があるので、次の会議で5分だけ時間をいただいて、みんなに見せてもいいですか?
ポイントは、「知っている」「考えている」「動こうとしている」ことを伝えることです。
特に「会議で共有したい」と具体的なアクションを提案すると、経営者も「ちゃんと対策を考えてくれている」と安心します。
まとめ
今回のポイントをまとめます。
- 防犯協会職員も高校の先生も、サポート詐欺に騙された
- 「知っている」だけでは防げない(焦らせる仕掛けが何重にもある)
- 対策は「体で覚える」ルールを作ること
- 警告が出たら「Escキーや電源ボタン長押し」
- 電話番号が表示されても「絶対に電話しない」
- 困ったら「情シスに電話する」
- IPAの解説動画を社員に見せるのが効果的
サポート詐欺は、「自分は大丈夫」と思っている人ほど危険です。
防犯のプロでも、教育者でも、騙されるときは騙されます。
だからこそ、「考えなくても体が動く」レベルのルールを、今のうちに周知しておきましょう。
また気になるニュースがあったら、考察記事を書きたいと思います。
TechAtlas(てっくあとらす) 元・中小企業ITインフラ支援部門責任者 | 9,000社以上の IT環境を支援してきた経験をもとに、IT初心者に寄り添う情報を発信中
ブログ: 中小企業IT担当者のスタートガイド